虹

帰り道、土砂降りの雨なのに陽が差した天気雨。世界が金色に染まってて、凄く綺麗だった。
電車待ちの時、周りが急に騒ぎ始めたからなんだろうと思えば、背後に大きな虹。
陽の光を吸ってきらきら降る光の雨と、鮮やかに浮かぶ虹を見てたら、涙が出そうになって、ずっと我慢して帰ってきた。
癇癪、とはまた違うのかなと、思う。でも、酷く、手を伸ばしたくなったから。
夕時の天気雨と、雨上がりの空と、あの清涼感は、あの存在を思い浮かべるのに十分な因子で。因子って言ったらなんか悪いもののようだけど。(苦笑)
今でもまだ、泣きたい。気を抜いたら、泣きそう。
私には、それほど、鮮やかな存在として位置づけられているんだ。夢見てるとか、笑ってくれたっていい。でも、確かに。バイブルみたいな存在になりつつある。怖いことだけど。
分厚い硝子越しの、世界。手を伸ばしたって、触れられない。でも、そんな世界でもいいや。追いかけていいなら、そんな世界が良い。手を伸ばして追いつける世界なんて、すぐに飽きてしまう。
呼んで応えが返ってくるわけでもないけど、でも、呼ぶ。
それで、いいんだと思う。